飲食店の経営者であれば、自分が経営しているお店が「いいお店」になることは誰もが願うことだと思う。
ただ、いいお店の定義は人によって様々だ。
最高の料理と最高の接客、最高のおもてなしをするための設まで完璧なお店をいいお店とする人もいるだろうし、安くてお値段以上と感じられる料理を提供しているお店をいいお店とする人もいると思う。
また、店主とのコミュニケーションや人柄で「いいお店」とする人もいる気がする。
いいお店は様々だ。
さて、僕が経営している熟成寿司専門店 優雅はとてもいいお店になったと思う。
基本的に僕は経営者だけど、大将にあまり口出しはしないようにしている。こんな料理を作って欲しいとか、こういう料理構成にしようとか、そういったことは最初の頃に話したくらいでほとんど何も話していない。
ただ、幸いなことに食べ歩きが趣味の僕は大将に色々な機会を提供してあげられたとおもうし、大将はそれをしっかりと形にしてくれている。
例えば優雅の熟成方法は大将が元々自分で研究を重ねた氷温熟成をベースにして、エイジングシートと呼ばれる熟成を促すためのシートを使ったり、四国計測が開発したエイジングブースターを利用したりしているが、これは普通の鮨屋の大将が普通に鮨屋を経営していたらなかなか出会えない代物だ。
ミシュランで星を取っているようなお店も、裏の経営は実はIT系の経営者だったりすることが多いけど、経営と現場が違うことで圧倒的なパフォーマンスが生まれることがあるのが飲食店の面白いところとも言えると思う。
この記事の目次
熟成寿司の専門店
さて、話が長くなったけどそんな熟成寿司優雅。久しぶりに伺ったら実に美味しくなっていた。
メニューにはその日のネタと熟成の日数が書かれている。
アテの白バイ貝を爪楊枝で突きながら、メニューを眺める。
最近の鮨屋の「お任せ」はメニューはもちろん、料理の説明すらないところが多いけど、僕はこういうのがあったほうが親切だと考えている。
挨拶がわり
一品目はいきなりマグロの赤身の食べ比べ。
これはまだまだ熟成寿司がそこまで浸透していないので、熟成がどういうものかが最もわかりやすいマグロを食べてもらうことで、一発目から体感してほしくてそういう構成にしている。
挨拶がわりの食べ比べだ。
個人的には、同じ産地のマグロの日数違いをやって欲しいところだけど、なかなか難しいみたいだ(笑)
旬の握り
続いて、江戸前すしの代表格の小肌。というか、このサイズはシンコ。骨は素揚げして煎餅に。
伺ったのは8月中旬だったので、旬の新イカ。このサイズのイカはやっぱりこの時期しか食べられないから出てくると嬉しい。
生ノリの茶碗蒸し
大将の口癖「茶碗蒸しは出汁の味わいを楽しむもの」。つまり、具は一切入っていない生海苔が乗った茶碗蒸し。
もはや優雅のスペシャリテと言っても良いほど定番化。
ちなみに、スペシャリテってやっぱりお客様が作ってくれるよね。
この茶碗蒸しも最初は生のりが旬の時期にだけ提供していたんだけど、あまりに人気だったので今では通年出している。
つまみと握りが交互に
基本的にはつまみと握りがランダムで出てくるスタイル。
鮑は特に美味しかったなぁ。肝のソースはお店の特色も出るから面白い。
甘鯛は鱗乗せ。熟成させた甘鯛に鱗を素揚げしたものを載せている。
熟成させて甘くねっとりとした食感に鱗のさくっとした食感がプラスされて、いい感じで口の中で調和するのが好き。
シャリはかなり味わいが力強い赤酢を使っていて、これは正直好みが分かれるところだと思うけど、まぁもうこれは仕方ないと思う。
握りは小さめ。
鱧と松茸
そう。暦の上では8月の上旬っていうのはもう秋だからね。松茸も出回るし、鱧は旬の真っ只中。
しっかりと秋を感じられる日本料理的な一品だ。
旬の握り
旬が感じられるお寿司はまだまだ続く。
いくらも今が出始め。まだ身が小さくてとっても柔らかい。このいくらを食べるとやっぱり夏の終わりを感じるな。
マグロのミルフィーユ
ガッツリ熟成させた中トロのミルフィーユ。
脂もかなり強めだけど、3枚重ねることで口溶けをよくした一品。
中トロも力強い味わいが感じられて、優雅のお寿司を代表するメニューになった。
熟成牡蠣の握り
そしてこちらも大好評の牡蠣の握り。
熟成してあるけど、火は軽く通してあるから安心して食べれることができる。
牡蠣は熟成させることで、その牡蠣自体が持っている旨味とか特徴をより顕著に力強く出してくれるから、素材の味わいをしっかり感じることができる。
熟成させることで最もその海のテロワールが感じ取れ安い一品だ。
穴子が出るともうすぐ終わりになるなって察する江戸前寿司
蟹、水茄子、鱧と旬の食材が続いた後に、穴子が登場。
穴子が出るともう終わっちゃうのか・・・と思う反面、大好きなネタだからテンションが上がるのもまた一興。
ウニは手にのせて。これが美味しいんだよね。
〆
最後はお椀が出て海苔巻きが出て終了。
美味しい時間はあっという間。そして、6人がマックスの優雅の場合はやっぱり貸切に限るね。
カウンター全員知り合いだと、お店全体の一体感みたいなのも感じられてとても心地よい時間を過ごすことができる。
熟成寿司専門店 優雅
一昔前は、熟成寿司のお店を経営しています。と、話すと熟成肉を使ったお寿司屋さんですか?と、まで言われるほどだった。
最近では都内で熟成寿司のお店がミシュランを獲得したりと知名度も高くなってきた熟成寿司。
都内で専門店を謳って始めたのは僕らが一番最初だし、最近はありがたいことのメディア露出も増えて予約もなかなか取りづらいお店になってきたと思う。
そして、最新の技術を使って熟成をさらに追求しようとしている大将をバックアップしてさらに「いいお店」にしていきたいと考えているよ。
ちなみに、僕が思う「いいお店」っていうのは会計してお店を出た時に「また来たいな」って思ってもらえるお店かな。
熟成寿司専門店 優雅
050-5595-4701
千葉県船橋市本町1-11-21
https://tabelog.com/chiba/A1202/A120201/12041079/
年間1000食以上外食するグルメブロガー。
得意分野は肉と寿司。ミシュランから千ベロまで。
株式会社BNF 代表取締役
株式会社門崎(格之進)執行役員
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