文化を作るというのは凄いことだ。
最初はほんのちょっとしたチャレンジだったかもしれない。思いつきと、創意工夫。
それにしても、自分が作ったものが世の中に浸透するっていうのは痛快だろうな。
八幡鮨は創業明治元年。150年の歴史がある西早稲田の歴史ある鮨屋。
御年86歳でまだまだ現役でツケ場に立つ4代目は、かっぱ巻きを開発したまさに元祖かっぱ巻きのお店だ。
戦後まもない1947年、GHQが飲食営業緊急措置令を施行したこと。そして満足行く寿司ネタが手に入らない。そんな次節。まだ10代だった八幡鮨の4代目はその頃出回りだした室胡瓜(細くて小さい胡瓜)をみて「きゅうりを巻いたら美味しいんじゃないだろうか?」と閃き、かっぱ巻きが生み出されたのだという。
ただ、明治生まれの三代目からはあまり快く思われなかったとか(笑)
ちなみにこの頃は生で野菜を食べる習慣すらない時代。それを鮨にするなんてカリフォルニアロール並に邪道なお寿司だったことは容易に想像がつくんだけどね。
余談だけど、今じゃ当たり前のように江戸前寿司の一員みたいになってる雲丹もいくらも元々は江戸前鮨じゃなかった。
でも、誰かがやり始めて、あっという間に文化になっちゃったから面白い。
そのうち、サーモンも江戸前寿司の仲間入りを果たす日がやってくるかもしれない。
ちなみに当時のかっぱ巻きの名称は「きゅうり巻」。
東京の若手の寿司職人が集まった勉強会で「きゅうり巻き」を披露した4代目の影響で、東京中の鮨屋に一気に広まったきゅうり巻きは、いつしかかっぱ巻きと呼ばれるように。ちなみにかっぱ巻きという名前になった由来は諸説あるみたい。
- 小口に切った胡瓜の切り口が、河童の頭のお皿に似ている。
- きゅうりはカッパの好物だから。
ただ、この日4代目は清水崑という漫画家が週刊朝日で「かっぱ天国」という漫画に由来があるのでは・・・と語っていた。
このあたりは誰かが言い出して自然と世に広まっていったんだろうね。
こうやって文化ができていくのを見るのは面白いな。
もちろん八幡鮨。歴史ある鮨屋だけあって鮨はもちろん美味しい。それでいてどことなくアットホームな雰囲気が感じられて実に居心地がいい。
〆はもちろんきゅうり巻きの考案者が作った「かっぱ巻き」で〆させてもらった。
かすかに香るごまの風味。シャキシャキとしたきゅうりの食感とシャリの旨味がしっかりと感じられる美味しいかっぱ巻きだったのは言うまでもない。
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年間1000食以上外食するグルメブロガー。
得意分野は肉と寿司。ミシュランから千ベロまで。
株式会社BNF 代表取締役
株式会社門崎(格之進)執行役員
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