津本式の熟成魚が楽しめる三茶の雫月(しずき)の話

熟成と聞くと瞬間で興味が湧くのは、熟成寿司の専門店を経営していたり、熟成肉で有名な格之進の執行役員を努めさせてもらっているからだ。
肉も魚もフレッシュが美味しいと思われていた時代(お肉も魚も、実は昔から一流店は寝かせたりして旨味を引き出していた)から、消費者も飲食店もさらにリテラシーが上がって、美味しいものを突き詰めた結果「熟成」にたどり着くのは当然の結果と言えるかもしれない。
もちろん食材によりけりだから、熟成させたものが必ず美味しいわけでもないし、フレッシュの方が美味しい(でももっといけてる熟成方法が開発されればあるいは。)食材も多く存在する。
とにかく美味しくするための手法の一つとして熟成があるのだ。

三茶の雫月(しずき)は津本式の熟成方法で魚をもっと美味しく

さて、三軒茶屋の住宅街にひっそりと佇む雫月(「しずき」と読む)は入ると綺麗なカウンターが並んでいる。まるで寿司屋のような綺麗な内装。
地下には個室があって、会食やら密会にも使えそうだ。僕らはもちろんカウンターへ。

スタッフの方は一見さんの僕らにもとても優しく接してくれる。
熟成魚の話をふると、津本の処理を行っている魚を仕入れているとのことだ。
津本式の熟成方法は、釣った直後の究極の血抜きと呼ばれる血抜き。つまり、魚の締め方が重要とされているんだけど、その細かい手法は本を読むことをオススメする。わずか1500円で得られる物凄い情報だね。

特に釣り人は買って読んでみることをオススメだ。
そんな気さくなお店の方に、初めて来たにも関わらず、僕らのオーダーは「お任せで美味しいところをちょっとずつ」みたいな常連みたいなオーダーをしてしまったんだけど、快く受け入れてくれたんだ。

先ずは前菜的な盛り合わせ

先ずはちょっとした盛り合わせなのか突き出しなのかわからないけど、旬が感じられる一皿からスタート。

甘くて美味しい富山のホタルイカにさりげなく添えられたとても美味しいほうれん草。土の味わいがしっかりの新ごぼうに、レンコンの和風アラビアータはシャキシャキした歯ごたえがいい感じだ。

津本式で熟成されたお刺身の盛り合わせ

お待ちかねの熟成魚。醤油だけじゃなくて、熟成酒の煎り酒も調味料として出てくるのがとてもいい感じ。

1週間寝かせたクロダイはねっとりした熟成ならではの食感。
マサバは1週間血抜きしてシメサバにして炙りで。脂がしっかりのっていて、強い余韻と旨味が感じられて臭みも全くなくてとっても美味。
銚子の金目鯛に、1週間熟成させたカマスは柚子の風味で。
3週間寝かせたという宮崎の石垣鯛が個人的にはとても好み。臭みがなくてねっとりとした熟成ならではの食感。美味。
初鰹も宮崎。こちらはフレッシュで甘みがある。
臭みがないからカツオっぽくなくて別の魚を食べてるみたいだ。
おそるべし津本式。おそるべし雫月。

お刺身以外の居酒屋メニューも充実

一人で遅い時間にぷらっといらっしゃってカウンターでご飯を食べていくお客様も多いみたいで居酒屋メニューも充実だ。

どれも美味しいけど、特にハマグリと国産の筍を使ったお吸い物は美味しかったなぁ。
あと、カニクリームコロッケは贅沢に蟹が使われていてこちらもめちゃくちゃ美味だ。ベシャメルはもちろん、ウスターソースまでオリジナルというこだわりっぷり。熱々の揚げたて。また食べたい。

シメは炊き込みご飯を!

そして美味しいものをちょっとだけ食べようと思ってきていたんだけど、あまりにも魅力的すぎてついつい頼んでしまったのは「生雲丹、ずわい蟹の炊き込みご飯」だ。

「こんなの美味しいに決まってるじゃないか!」って思わず叫ばなかったけど叫べばよかった。

美味しいものと美味しいものの組み合わせ。僕が好きなものと好きなものの組み合わせ。
美味。美味い。お腹いっぱいだけど、お代わりて食べきれなくなって持ち帰りたいくらいの旨さだ。

雫月(SIZUKU)

三茶にある雫月は何を食べてもとっても美味しい海鮮を主体とした和食屋さんだけど、魚は津本式。基本は無化調で身体にいいものばかりを厳選して提供するとっても美味しいお店だ。
コースで頼めば実にコスパの高い和食のコース料理を味わうこともできるだろうし、さっと伺って1杯飲みながらちょっとつまんで・・・なんて使い方もできる最強の居酒屋とも言えるかもしれない。
そして、三茶という土地柄もあってか、思ったより値段が安いのだ。
全力でオススメできるお店の一つ。また行きたい。

雫月
050-5596-1054
東京都世田谷区三軒茶屋1-40-4
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131706/13225147/

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