第24回肉肉学会でホルスタイン、ブラウンスイス、エアシャーの食べ比べ

肉肉学会。

初めて聞いたときは真面目なのかフザケてるのか全くわからない謎の会だと思った。
ところが、全日本食学会の肉料理部会分科会という実にオカタイ学会が共催に入っているし、行ってみれば生産者がきてプレゼンを行い、かなりマニアックな食べくらべをさせてくれるアカデミックな会なのだ。

会によってはグルメ業界では有名な芸能人や誰もが知ってるグローバル企業の経営者だったりが参加していり、わざわざ遠方から来る方も後を絶たないお肉好きにはたまらない会。

第24回は『十勝若牛 ホルスタイン& ブラウンスイス & エアシャー 牛蕎麦』というお題目で開催された。

つまり、いわゆる乳牛のお肉の食べ比べ。そして、一般的には蕎麦には合わないと言われている牛肉と蕎麦のマリアージュを研究する会といったところ。

「ホルスタインって食べれるんだ。」

そんな声が聞こえてきた。そう、ほとんどの人は意識せずにホルスタインは日常的に食べられている。スーパーやレストランでよく見る「国産牛」とは大抵がホルスタインのことだからね。

だからある意味では最も食べ慣れているのがホルスタインだったりする。和牛に比べて刺しが少なくて赤身が中心。柔らかさはもちろん和牛が上。いわゆるお肉の等級でいうと和牛よりは霜降りが少ない分当然低くなってしまう。

(余談だけど、あの等級は日本食肉格付協会が歩留まりをA〜C、肉質を5等級で分けているだけで美味しさと完全にイコールなわけではない。)

でも、こだわりを持って作られた国産牛は下手したら和牛にも負けないくらい美味しく食べることが出来る。

エアシャー種

そして、今回はエアシャーという超希少な牛を頂く。

調べてみると、エアシャーはスコットランド原産の乳用種。明治11年に日本に輸入されて政府に明治の末までは奨励されていたけど、より乳量が多いホルスタインに置き換えられたとのこと。

参考 ⇒ エアシャー種(Ayrshire) 乳用牛と牛の歴史

このエアシャー。もちろん名前も初めて聞くし食べたことはない。
肉おじさんとしても有名で、主催者のひとりでもある格之進の千葉社長ですら初めて食べるというから驚き。日本の乳牛の99.3%はホルスタインで残りの0.7%の大半はジャージーが占めているとのことなので、いかにこのエアシャーが希少種なのかが統計からもわかる。

エアシャー、ブラウンスイス、エアシャーの食べくらべ

さて、食べ比べ。

一言で言うと僕の舌に合うのはブラウンスイスだった。
ホルスタインとブラウンスイスのローストビーフは多少の舌触りに違いがあるものの、言われないと気づかないレベルで味の優劣はつけがたい。
そして、リブロースのステーキになるとそれぞれの違いが明確になる。

お肉は美味しさを楽しむのではなくて、肉質の違いを知るための調理方法のため、最初は塩も何も付けないで頂く。
僕なりの感想をまとめると、エアシャーは旨味の余韻が後半に来る感じ。脂はグラスフェッドビーフ(牧草牛)を食べたときのことを思い出した。肉と脂の一体感はあまりない。
ホルスタインはよく食べ慣れている感じ。いい意味で普通に美味しいお肉。
そして、ブラウンスイスは口に入れた瞬間にぐわっと旨味が広がって後半の余韻は少し弱い気がした。ただ、脂がしっかりとしてい旨味が強い。

個人的な好みはブラウンスイス→ エアシャー → ホルスタイン だ。

ただ、これは調理方法とかに酔って大きく異なるし、個人の感覚であることは間違いない。

だって、その後に食べたブラウンスイスとホルスタインのスネ肉のステークアッシュ(ハンバーグ)食べ比べでは、ホルスタインのほうがあっさりとしていて、ブラウンスイスはちょっと癖が強すぎる気がしたからね。

普通の人ならホルスタインのほうが食べやすく好みに合うだろう。

牛そば

〆には堀井格之進と銘打った総本家更科堀井さんと格之進の共同研究から生まれた牛蕎麦。
今回は「もも肉のコンフィ」と「二八蕎麦」に「あんかけ風のおつゆ」という組み合わせ。アクセントの山椒が実に僕好みであっという間に完食。
試行錯誤の結果、生み出された牛そばであることがわかる味わい。
約50名が集まった会だったけど、しっかり参加者の方とも交流が出来た。

素敵な出会いもあって「経営者同士は話が早い」ね。ってことで。

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