親戚に不幸があって、両親の故郷である岩手県宮古市へ。
僕は生まれこそ岩手だけど、育ったのは千葉県佐倉市。だけど、毎年のように結構長い期間宮古にいたこともあってか、僕も宮古市は故郷のように感じているんだ。
不幸があった。本当に小さい頃からよくしてくれた親戚の叔父さんが亡くなった。
ラーメンを食べるなんて不謹慎だと周りからは言われた。それでも、どうしてもここのラーメン屋に行きたかった。
なんとなく親戚の叔父さんが亡くなったことによって、逆に「宮古」を感じたくなったのかもしれない。
それだけここのラーメンは唯一無二の味わいなんだ。
ちょっとした空き時間を使って、父と妹と3人で抜け出してこちらへやってきた。
メニューはシンプルで一つしかない。
中華そば 580円のみ。
そうそう。これだ。
初めて食べたのは小学生の頃だったと思う。
最後に食べてから20年以上経っているので味は変わっているかもしれない。でも、やっぱり味の系統は変わらないんだよね。
懐かしさを噛み締めながらスープを飲む。
透き通るスープは煮干しの出汁の味わいが感じられるけど、えぐみも力強さもなく優しい味わいだ。
丼になみなみと注がれたスープは一口目よりも二口目の方が美味しく感じた。
平打ちの細麺はまるでインスタントラーメンのようにウェーブがしっかりかかっていて、小麦の風味が感じられる。
ちょっと甘めのメンマと、スープに良く馴染んだ小さなチャーシュー。そして、△の海苔に青ネギという非常にシンプルなラーメン。
少しの胡椒でしっかり味変が楽しめる繊細な味わい。
妹は美味しいと言って食べていた。
父はこのラーメンが苦手だという。味わいがシンプルすぎるのだとか。
ラーメンって人それぞれ好みが違うから面白かったりもするね。
僕はこのラーメンが大好きだ。
素朴で、嘘がなくて、どことなく感じられる優しさや、ゆっくりと時が流れるような感じが僕がイメージする宮古の故郷のような思い出と重なるからかもしれない。
次にこのラーメンを食べる機会は、不幸があった時じゃなくて、もっとポジティブな理由で宮古にきた時に食べたいな。
多良福
0193-62-5607
岩手県宮古市大通1-1-20

年間1000食以上外食するグルメブロガー。
得意分野は肉と寿司。ミシュランから千ベロまで。
株式会社BNF 代表取締役
株式会社門崎(格之進)執行役員
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