そのお店のことはどこからともなく風の噂で流れてきた。
2020年の1月にオープンして、わずか2ヶ月で食べログの点数は4点を超え、多方面の FOODie からの噂話や、グルメな人のインスタで目にした。
最近レストランによく一緒に行く人を誘ったところ、「知ってる。気になってた。」と。流石だ。
彼らグルメな人達の情報ネットワークは一体どうなってるんだと思って、予約を取ったら「赤沼さん。予約ありがとうございます!」と、知人からメッセージが。
どうやら彼がオーナーのお店らしくて、世の中は狭いなぁって。
この記事の目次
ミシュラン常連店にも負けないクオリティ
西麻布の蒼。「あおい」と書いて「あお」と読むこのお店は結論から言うと素晴らしいお店だった。
去年は30店舗くらいミシュラン掲載店に行かせてもらったけど、ここの蒼ももうそのクラスのお店だと確信した。2021年のミシュランで蒼にいくつ星がつくのかもう勝手に楽しみにしてる。
ちなみに、最近はミシュランよりもゴ・エ・ミヨ(フランスの伝統あるグルメ雑誌だ)の方が参考になるとは飲食業界の方は多く言うけど、やっぱりミシュランの星も気になるもの。
料理は18,000円のお任せのみ。ペアリングは9000円(ハーフ)と18000円(フル)の2種類があって、もちろんフルでオーダー。
1日1回転のカウンターのみでゆったり座って6席だ。
料理はフレンチがベースのノージャンル。峯村シェフのこだわりががっつり感じられる。引き算の和食。足し算のフレンチなんて言われるけど、蒼の料理は基本足し算。いや、掛け算かもしれない。そして時に割り算だったりするかもしれない。
時に王道のフレンチを。時に食材を活かし。時に濃厚なソースで複雑味溢れる濃厚な味わいを表現し。時にヌーベルシノワ(新中華)のような力強い料理が出てきて楽しませてくれる。
和のエッセンスもしっかり感じられるのがまた面白いのだ。
愛媛 藤本漁師の神経締めの真鯛のコンソメ
先ずはアンリオ キュヴェ エメラが出てきて、ペアリングワインは間違いないやつだと確信をいだきながら乾杯。
和食のような美味しい出汁の味わいと、ブイヨンが合わさったかのような旨味溢れるスープで身も心も温まる。
美味しい!一品目が美味しいとやっぱりテンションを上げてくれるよね。
「うちはこういうお店です」が伝わってくるもんね。
唐津 大山鮮魚店より 神経締めの鰆の藁焼き
鰆の藁焼きに合わせるのはDomaine des Terres de Velle(ドメーヌ・デ・テール・ドゥ・ヴェル)のムルソー・レ・リュシェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ。
ドメーヌ自体は2009年創立と新しいんだけど、ソムリエ兼パティシエの塩谷支配人曰く今注目のドメーヌとのことで、確かに美味しいし複雑味のある味わい。
鰆の味わいや、藁焼きの藁の香りがしっかりしているからこそ、ヴィエイユ・ヴィーニュ(樹齢の古い葡萄で作られたワイン)のワインを合わせたのかと納得。
お米を発酵させたソース。レモングラスの藁。餅米に中国甘酒と食材の合わせ方も独特だけど、とっても美味。
自然栽培 静岡のホウレンソウ
ホウレンソウは根っこも食べるのは初めてかも。
パイ生地にホウレンソウが巻き付けられているものはシャンパンを使ったブールブランのソースで食べるんだけど、このソースが絶妙に美味い。
この後にもソースが色々と出てくるけど、とにかく蒼はソースが抜群に美味しく感じた。
そして、茎はとっても甘く、揚げた根っこはカリッとした食感がとてもいい感じで香ばしい美味しさ。
一つのホウレンソウでこんなにも違う味わいを楽しめるのは知らなかった。
恐るべし。ホウレンソウのポテンシャル。
ブルターニュ産 ブルーオマール “アメリケーヌソース”
そしてこれが今日イチで美味しかった。アメリケーヌソースが過去食べた中で最も美味しいと感じた素晴らしい味わい。
いやこれ、びっくりするくらい美味しいから。
ソースは一滴も残さずに食べたいくらい。
エビの良いところだけががっつり前面に出たような濃厚で旨味がしっかりとしていて、甘くて微かな酸味とかもう全部良い感じでとにかく美味。これはまた食べたいな。最高に美味。
京都より 田原さんの筍
「筍は鮮度の高いトウモロコシと同じように考えている。」と説明され、ふむふむ。と。
大きなお空の真ん中にちょこんと筍。端っこには塩。
これが食べるとめちゃ甘い。なるほど。トウモロコシね。ウンウン。
澄ましバターでキャラメリゼしてある筍はキャラメルポップコーンのような楽しげな香り。シャッキシャキとホクホクの食感。余韻でがっつりと感じられる素晴らしい甘みが良い感じだ。
この筍を食べた時に、レフェルヴェソンスのスペシャリテである蕪を食べたのをふっと思い出した。
普段ならメインにならない食材でも、料理人次第で食材はこうも輝けるのかっていうのがこういう料理を食べると本当によくわかる気がする。
ランド産 フォアグラと果実
フォアグラはまさかの中華風に。
陳皮。ナツメグ。甜醤油。シナモン。
お皿の中も口の中もとってもt楽しくなるような賑やかなフォアグラの一品。
それにしても上質なフォアグラ。
合わせたワインはアルザスの Marcel Deiss Schoenenbourg Grand Cru(マルセル・ダイス シュネンブルグ グラン・クリュ 2013)で、トロピカルフルーツのようなフルーティでハチミツ感のあるさっぱりとした白ワイン。
複雑味のある味わいが中華っぽいフォアグラとしっかりマリアージュ。面白い。
新玉葱のムース
これも面白い。食材をガッツリ活かした逸品だ。
右、使用前。左、使用後。みたいな感じの新玉葱のムース。
クリームはわずか2ccだけしか使っておらず、ほぼ玉葱。だけどなんと言うクリーミーさ。
素晴らしい口どけ。
これもすごく好きな一品で、玉葱の美味しさを再確認できたよ。
相模湾 さかな人 長谷川さんの赤魚鯛を本日の仕立てで
飲食店にしか卸さないお魚コンシェルジュの長谷川さんから仕入たとい言う高級魚の赤魚鯛(アコウダイ)。
綺麗で濃厚な味わいのハマグリのスープと一緒に絶妙な焼き加減のアコウダイが美味しくないわけがない!
ワインはユリス・コランのシャンパーニュがここで出てきてペアリングワインのクオリティが半端ないなと驚きが改めて。
苺 酢橘 胡麻
いちごのグラニテ。白ワインにシャンパンに胡麻油。
酢橘が良い感じで酸味を感じさせてくれて胡麻油の風味もちゃんと感じる良い感じのお口直し。
そしてワインはオリヴィエ・バーンスタインのボンヌ・マール グラン・クリュが次のお肉料理に合わせて。
これ、絶対赤字じゃない!?って言うワインのセレクトにただただ驚き。
当たり前だけど、単体で飲んでも美味。複雑な味わいがただただ素敵。
京都 亀岡の七谷鴨の炭火焼
メインは鴨料理。
目の前でたくさんコイツが焼かれまくってるのを見ていて楽しみにしていた一皿。
脂の香ばしさとか、鴨肉の旨味とか色々な味わいがガッツリ感じられる一品。
説明不要に美味しいんだけど、31ヵ月熟成させたと言うキタアカリ(じゃがいも)が恐ろしく糖度が高くて美味。
なにこれ。美味い。
もちろんワインとも完璧に合うし、大満足。
ちなみにこのタイミングでコンソメで炊いたライスも出て来るんだけど、このお米ももちろん美味。
もちろんお代わりしたよ。
もっと食べたかったけど、3杯目は遠慮したよ(笑)
ジャージー牛のミルクをアイスクリームで
僕が食べたアイス史上最も美味しかったかもしれないアイスがこちら。
このアイス食べるためにもう一回行きたいレベル。
コンビニで800円くらいで売ってたら即買うレベル。
美味。
最後のデザート的な感じのワインは選択制
最後のペアリングは「この中からお好きなものをどうぞ・・・」と。
このラインナップが凄い・・・このペアリング。18000円て絶対利益出てないよね(笑)
結構悩んだんだけど、ものすごいベタにディケムをセレクト。
ブドウの樹1本からグラス1杯のワインが造られるといわれるディケム。何度か飲ませてもらってるけど相変わらず美味。
古いのも美味かったけど、2009年も美味。スッキリ甘くて、蜜のような旨味。ものすごい満足度と多幸感。
小さな焼きたての一品
最後はガレットブルトンヌ。しかも四角い。
これまた絶妙に美味しくて、ソムリエで支配人の塩谷は元パティシエ。有名店にもいたことがあるみたいで、その本領を突然全力で発揮。
いやー凄い。最後までしかっり美味しいしこだわりがすごい。
蒼
2020年1月に西麻布交差点からちょっと六本木方面の坂を登った赤のれん近くにあるこちらのお店は既に数ヶ月先まで予約でいっぱい。
今後はさらに予約が取りづらくなること必至だろうから、今はちょっと例のコロナウイルスで大変な時期ではあるけど是非是非タイミングを見て行ってみることを全力でオススメするよ。
アルコールが苦手な人以外は、ワインも間違いなくペアリングをオススメ。驚くほど高級だったり拘りの末に選んだと思われるワインがポンポン出てくる。
季節を変えて定期的に通いたくなるお店なんだ。
蒼
03-6434-9829
東京都港区西麻布3-21-3 オリンピアード麻布霞坂 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13243463/
年間1000食以上外食するグルメブロガー。
得意分野は肉と寿司。ミシュランから千ベロまで。
株式会社BNF 代表取締役
株式会社門崎(格之進)執行役員
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