エイジングシートというものがある。
ミートエポック社が明治大学と産学提携して作った魔法のシートは、簡単にいうと熟成肉が美味しくなるのはある菌とカビが関係していることを突き止めたんだけど、その菌やカビをあらかじめ付着させたキックングペーパー(正確にはミートラップと呼ばれる布状のもの)のことなんだ。
この記事の目次
エイジングシートって!?
このエイジングシートがすごいんだよね。
最初は肉で色々と試していたんだけど、ある時から魚にも応用が効くことがわかってきたんだ。
実は僕が経営している熟成寿司専門店 優雅のお寿司の一部は少し前からこのエイジングシートが使われていて、シートのおかげでここ最近は熟成の手法に幅が広がったりしたんだよね。
→ 熟成寿司専門店 優雅 公式サイト
エイジングシートはAmazon 限定で販売されているから、気になる人は購入してみるといいかもね。
これがうっかり恐ろしいくらい効果があるんだ。
お肉も魚も菌やカビのお陰でしっかり熟成される。
そして、なんと日持ちするようになるから消費期限も伸びるような効果があるんだよね。
(実際の消費期限は厚生労働省と農林水産省が定めた「食品期限表示の設定のためのガイドライン」にそって決められるよ。)
エイジングシートで3日くらいお肉を熟成させてみた
そのエイジングシートを使って近所のスーパーで買ってきたお肉を実際にエイジングしてみたんだ。
購入したのは黒毛和牛のミスジと、豚肉のロース。これを半分に綺麗に切って半分はエイジングシートで包み込み、もう半分は普通のクッキングペーパーで包んで3日間。冷蔵庫のチルドで保管しておいたよ。
エイジング3日後の変化が面白い
右がエイジングシート。左が通常のクッキングペーパーで包んだほう。
もう明らかに色が違うんだよね。
エイジングシートの方は驚くほど変色がない感じ。特に豚肉は全くと言っていいほど3日前と同じような色合いだよ。
クッキングペーパーの方は「3日も放置すればこうなるよね。」という納得の色合い。まだ茶色くなったりはしていないけど、もう数日で周りから茶色くなるちょっと手前っていう感じかな。
うん。この変化は面白いね。まだ3日くらいからだからか、香りに大きな変化はなかったけど、少し香ばしい香りがエイジングシートの方からは気持ちしてきたよ。
実際に焼いてみた
フライパンを使って火を通してみたよ。
豚肉はちゃんと火が通る感じでしっかりと。牛肉は少し軽めに。
余熱を使って中まで火を通し終えたのがこちら。
右がエイジングシート。
左はクッキングペーパー。
焼いてみるとそこまで見た目の違いは無くなった感じだね。
ところが食べてみると全然味わいが違った
そもそもそれなりのお値段をするお肉を買っているため、牛肉も豚肉もエイジングも何もなくて元々が結構美味しいんだよね。
手前味噌だけど、焼き具合もいい感じだった。
牛肉は多少味わいには変化があった。クッキングペーパーで3日寝かせたお肉はごくわずかだけど臭みがあって、エイジングシートには多少の熟成香が感じられる。
味わいは誤差。食べ比べると変化がわかる感じだけど、誤差の範囲だ。
ところが、豚肉は圧倒的にちがった。
エイジングシートを使って発酵熟成されたロースは、しっとりとしていて力強い旨味が感じられて、香り自体にも甘みが感じられるようなふくよかな味わいに変化していた。これは美味だ。
通常のクッキングペーパーの方の豚肉は美味しいには美味しいのだが、エイジングシートに比べて香りや甘み。旨味。どれも一段劣ってしまうように感じられた。
これは本当に面白い変化だ。
エイジングシートはすごい可能性を秘めている
エイジングシートはすごい可能性を秘めていると改めて感じた。
使ってみた個人の感想だけど、熟成されて味わいが美味しくなるのはもちろんだけど、食品の腐敗自体も遅らせる効果があるように感じられた。
また、エイジングの日数や、実際にエイジングをする食品にもよるけど大きな味わいの変化が楽しめるものもまだまだありそうだ。
実際、僕が経営している寿司屋(僕はもちろんお寿司は握れないけどね)では、マグロをはじめ多くの食材はこのエイジングシートを使いはじめてからお客様からの評判も上々なのだ。
まだまだ色々な食品に使うことでとてつもない可能性を秘めた、まさに魔法のシートと言えるかもしれない。
年間1000食以上外食するグルメブロガー。
得意分野は肉と寿司。ミシュランから千ベロまで。
株式会社BNF 代表取締役
株式会社門崎(格之進)執行役員
熟成の世界は奥深く未知なる世界ですね!